3. ハッとしてグッなプロモーション資料を用意せんとす
(その1:自分に足りないものを知る)
作成日:2013/08/27
イラスト―レーターとして自分を売り込むならば、売り込み用の資料が必要です。
売り込みのお相手が、ハッと見て、グッときて、パッと乗り出す資料があれば!
というわけで、今回の記事から、プロモーション資料の作成について検討し始めよう。
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イラストポートフォリオは必須だが
一般に、イラストレーションの売り込みの際には、イラストポートフォリオと呼ばれる資料が用いられるそうだ。ポートフォリオこそプロモーション資料の代表例であり、おおよそ図2のような外見をしている。
以上は、私が理解している範囲のイラストポートフォリオの要件であり、以前通っていたパレットクラブスクールという画塾で教えて頂いた内容だ。
まじめな方のために、各POINTの理由・根拠も併せてご説明しよう(以下表参照)。各ポイント
理由・根拠
POINT1:
クリアファイルを用いる
各ページが独立していて取り出せる方が、顧客がイラストを検討する場には適しているそうな…
(ポートフォリオをまるまる一冊持ち出すのは、重たいしかさばる様子)POINT2:
1ページにつき1枚の絵の画像/情報を載せる
POINT3:
各ページフッターに氏名と連絡先を記す
ページだけが抜き出されて離散しても、誰の絵かわかるように。
また、POINTO1,2の“理由・根拠”でも説明した通り、どこかのページだけが抜き出されて単独で検討の俎上に上がる場合もあるため、 現実に「あぁ、この絵いいねぇ、誰の?」となった時、即座に氏名と連絡先がわかる方が良い。POINT4:
背表紙に名前は必須、可能であれば画像を挿入するとなお良い
ポートフォリオは本棚などに立てて保管されることが多いため、背表紙で絵のタイプと名前を目視できるようにしておく。
これはもう、鉄板の資料です。が…しかし…、何かが心にひっかかる。
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自分を売り込みたいのなら、もう一歩努力が必要ではないか?
わたしはいま改めて、手元にある自分の絵画を眺め通してみたところ、ある一つのインスピレーションを得たのである。
それは、
…突出した特徴も、はたまた一貫性もない、漫然たる印象!
だということだ。
果たしてかような私の絵を、ひたすら愚直にファイリングしたところで、大丈夫だろうか?
んむむ…私の中で恐ろしい妄想が広がる…。
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妄想劇場その1 :持ち込み面接で
私:
(憧れの出版社に、とうとう持ち込み営業のアポを取り付け意気揚々と)「本日は貴重なお時間を頂きまして本当にありがとうございます!」
「わたくし、有馬級子と申します」(と、名刺を差し出す)
「現在イラストレーターを目指しておりまして、こうした絵を描いております」(と、持参したポートフォリオを手渡す)
編集者
(無言で受け取り、ぱらぱらと一、二枚めくり、全体を通観するまでもなく)「…で?」
私
「…?」
編集者
(幾分イライラして。既に手元のポートフォリオは閉じている)「で、君は何ができるの?」
私
「…!!」
アゥチ!つらいよぅ。辛いけれども、もっと冷たい反応だって予想できるのだ。例えば、
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妄想劇場その2 :持ち込み面接でpart2
編集者
(ポートフォリオを開いた瞬間)「あぁ、こういう絵はもう担当がいるから。帰って帰って」
!!取りつく島もないとはまさにこのこと!
だがしかし、もっとずっと苦しい状況だって想像できるのだ。
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妄想劇場その3 :ポートフォリオ郵送で
私
(持ち込み営業アポは取れなかったので、ポートフォリオだけ郵送)
―――二日後―――
編集者
(自分宛てのA4封筒を手にして)「あぁ、そういえば二日前にアリマってやつが電話よこしたな」
(開封の後ポートフォリオを開き)「……」
(見終わる前に) ポイっ!
―――同じ頃、品川で―――
私
「どうだったかしら?気に入ってもらえたかしら?」(ドキドキ…)
―――三か月後、品川で―――
私
(待ちぼうけであることに薄々感づきながらも)「もしかしたら今月は、お仕事の依頼、来るかもしれない…」(もうドキドキはしない…)
う、うーむ。こうなると悲惨です。
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妄想劇場は妄想でありながら、妄想にあらず
多忙なビジネスパーソンである編集者の気持ちを想像すれば、私の妄想小劇場はリアルに現実化しそうであり、そこから知覚出来るのは私のアプローチ方法の稚拙さです(絵の出来不出来はこの際保留にする)。
“案ずるより産むがやすし”ということわざが頭をかすめてもいくのだが、とはいえ、もう少し案を練ることも可能では?
と思ったわたしは、決意したのです。
自分の絵の営業マンたるにはどう準備し振る舞うべきか、研究せねば、と。
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営業マンたるもの、サービスを提供できねば意味がない
というわけで、叡智の宝庫、図書館へ走った、私は。
目的は、営業とコミュニケーション力についての理解を深めるため。いわゆるハウツー本を借りること。
もくじを拾い読みした上で借りた五冊中、自分が求めていた情報に最も近い情報が得られた本がこれ(↓)である。営業マンの君に勇気を与える80の言葉 (クリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
当ブログは書評を目的としないので詳細は割愛するが、概説だけすると、野村証券で“営業の鑑”と呼ばれた男、津田晃(つだ・あきら)氏が、営業としての心得80条を掲げ、それぞれの根拠や解説も施してくれる。
私はこの本に、一貫して流れるテーマを嗅ぎ取った!それは、
営業が売るのは、一にも二にも、とにかくサービス!
ということ!
誰のために働くのか?お客様の為に働くのだ!という原則を頭に叩き込んでおかねばならぬ、ということだ。
報酬が発生するということは、当然そういうことですね。また、営業マンが扱う製品は、実は100%完璧な製品ではないかもしれない。だから営業マンは製品の特長を理解し、長所を見つけ出してやらねばならぬ、そこを伸ばしてやらねばならぬ、とも、著者は言っている。
ふむふむ…
ならば、私(と私の絵)にも何かしら長所があるはずで、その長所と売り込み先のお相手のニーズが幸いにも合致すれば、私もイラストレーターとしてサービスを提供できるのね!
もっと本質を言えば、売り込み先のニーズを掘り出すのが営業マンの仕事のようですが、ま、そこはおいおい…。
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私が提供できるサービスとは?
作図好きの自分としては、さっそく、この重要な理解を図にしてみた。
図で、“私が提供できるサービス”と“私が提供したい(売り込みたい)サービス”とを分けた。今のわたしには後者しかなく、前者について不明確である。先ず、二つをそれぞれ明確にしなくてはならん。
あぁ、今までわかってなかったけど、自分の描いた絵がそのまま認められたいとかって、結構な高慢だったのね!と、営業マンの心得を学んだ私は、過去最も謙虚なのではないか、というムード。
ここまでの教訓をもとにすれば、プロモーション資料の輪郭が徐々に見えてきたではありませんか。
まて、次回。